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不定期エッセイ VOL.6「救い」

僕は一番好きな建築の世界で、人生最も不幸になった。簡単には立ち直れなかった挫折。一番好きだった建築でドン底に堕ちた。虚しさにやりきれず、生きる意味がわからなくなった。
同じ時期に離婚もしたし、友人とも疎遠になった。だって本当にわからなくなってしまったから。

それでも建築の世界に戻ってきた。
それは建築に救われたからではない。上辺だけの建築に、上滑りに聞こえる建築家の言葉に、マスターベーションのような建築作品に、希望も価値も見い出せなかったから。だからこそ戻ってきた。

僕を救ってくれたのは、坂口安吾や中島義道、岡本太郎、京極夏彦、amazarashiの言葉達だった。マークロスコの油絵、楽吉左衛門の茶碗、ルドヴィコ・エイナウディの旋律たちだった。そして僕の描いた絵を購入してくれた人達。どれも全て人が作り出したものだったし、人そのものだった。
建築で救われなかったからこそ、建築が(精神的に)人を救う場面を作り出したいと思った。

戻るか悩んでる時期に、唯一、救える可能性があるなと感じたのはホテルや住宅のような人の近くの空間。
幸運にもそんなプロジェクトが舞い込んできた。頑張ろう。運命愛だ。ニーチェだ。

副業として油絵も描くけれど、建築でも挑戦していく。ジェフリーバワのように。
そんな事を、素晴らしい人に囲まれた忘年会後の酩酊した頭で考えた。